人材育成事例情報 > 全国から収集した事例情報 > CADS&CADIを活用したキャリア形成促進研修
具体的な人材育成の取り組み
(1)人材育成の概要

 社員教育は、期首に総務部が立てる全社教育計画と、各部門が立てる部門教育計画に基づいて実施されている(教育体系図 参照)。
 全社教育には階層別教育と課題別教育がある。階層別教育は集合研修と通信教育で構成され、どの階層にも教育メニューがある。集合研修は全て自社主催であり、外部講師だけでなく社内講師も多く活用している。このうち昇格認定研修は職場での実践を主とし、約9か月にわたるロングランである。課題別教育では企業理念の確実な実践を目的に、CS教育に力を注いでいる。
 部門教育は職能別教育であり、各職場単位で勉強会が随時開催されている。最近では他部門との合同勉強会も開かれ、互いに講師として出向いている。
 なお、当社の人事制度(職能資格制度、人事評価制度)は、他社では当たり前の単なる処遇反映のための制度ではない。企業理念に基づき、将来必要とされる人材の育成を推進するための能力開発制度と位置づけられ、昇格認定研修のように教育訓練制度と密接に連動している。

(2)キャリア形成促進研修
   キャリア形成促進研修は、企業理念に基づき「自ら計画的な能力開発を行える自立型人材の育成」を目的として、平成13年度からCADS&CADIシートを使い毎年実施している。対象は30歳前後の社員で、毎年7〜8名が受講している。講師はCDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)の資格を有する人事コンサルタントである。同社と10年以上付き合っているため、同社の仕事内容や社員のことも知り尽くしている。
 第1日目は、CADS&CADIシートを終日使用して行われ、最後に「まとめシート」を仕上げる。進め方は、最初に研修の狙いやキャリア形成の意義・重要性を講義し、各シートを順次説明して記入させていく。
 まずCADIシートで自分のキャリア形成意識を認識させ、CADSシートに移る。「仕事の棚卸(ワークシート1)」から「近い将来に取り組みたい仕事(ワークシート3)」までは、比較的スムーズに記入していく。この段階で「CADSスキル・マップ」での「基本スキル−職種別モデル」を配付してレベルアップ項目を考えさせるが、真剣さが増し眼の色が変わっていく。
 しかし、「これからのキャリアプラン(ワークシート4)」を立てる段階になると、ペンがなかなか進まない。これは目の前の仕事を片付けることに日々追われ、遠い先のことを考えたことが無いためのようである。ここで再度、キャリアプランの重要性を講義する。するとペンが少しずつ動き出していく。このシートを完成するには概ね2時間程度要する。「ライフプラン(ワークシート5)」については、和気あいあいと楽しく記入していく。
 第1日目の感想は次のとおりで、CADS&CADIの狙いどおり、気づきを与える効果は抜群である。

今まで考えたことのなかった20年先、30年先を自分なりに考える研修は、今後の自分の将来にとって良い機会となった。
「CADSスキルマップ」にある実務スキルを参考に業務経歴を再確認したことで、自分が学習する業務分野や知識がはっきりした。
基本スキルのチェックで、自己の強み・弱み、アップすべき能力が明確になった。
資格やスキルは計画的に取得していかなければ、時間に流され何もしないうちにすぎていくと気付いた。
将来のビジョンを明確にし、それに向けた努力を行う。また、そのための時間を作り出さなければいけないと痛切に感じた。

 第2日目は、具体的なキャリア開発プランの立案・検討と個人別キャリア・カウンセリングを並行して進める。
 午前中は、第1日目で立てたキャリアプランの確実な実行を目的に、別途キャリア開発プランシートを使い、向こう3年間の具体的なキャリア開発プラン(自己啓発計画)を立てていく。プランを考える際は、配付されたビジネスキャリア制度や各種通信教育機関のカタログを参考に決めていく。このキャリア開発プランで考えた通信教育やセミナーは、全額会社負担である。キャリア形成意識の高まりもあり、受講者はこぞって幾つかの通信教育等を申し込む。
 午後は、各自が立てたキャリア開発プランについてグループで検討し合う。自分の強みや弱み、キャリアプランを発表し、グループメンバーからアドバイスを受け、より確実な自己啓発計画に仕上げていく。
 キャリアカウンセリングは、仕事への興味、能力、価値観を講師が質問し、各人の進むべき方向性やベスト・ジョブ、自己啓発計画などについてアドバイスする。
 第2日目の感想は次のとおり。具体的な実行計画が立てられたこと、カウンセリングを受けられたこと、及び同世代同士で自分たちの将来を真剣に語り合えたことに対する評価が高い。

キャリア開発シートでは、3年間に行う具体的な課題を検討でき、3年後の目標に向けた設定ができた。
キャリアカウンセリングも大変興味深く、自分自身の性格や適合する仕事が再認識できた。自分の特長がはっきりと浮き彫りになり、その特徴を生かすにはどのような方向を目指せば良いのか、課題も分かった。
目標達成に向け通信教育を計画したので、予定通りに習得できるようにしていきたい。

 なお、この研修全体の感想は次のとおりで、全員が有意義なものと受け止めている。

新たな自分の進むべき道や5年後、10年後に自分のあるべき姿に向かい、邁進する勇気が生まれたような気がする。
自分のキャリアプラン実現のために、具体的に実行プランや自分に不足している知識を考えたことは、今後の目標を持つことにつながり、とても良い研修だったと思う。
また5年後、10年後にこの研修を受講したいと思う。
自主参加・自費参加であっても、このような研修に全社員が参加するべきではないかと思う。

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