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| 金属の塑性加工の分野でも鋳物やプレスなどがありますが、スピニング加工くらい技能職種として熟練技能・経験と勘に頼る、人間が主人公になる業種はないのではないかと思います。全国で私達と同じような職種をしている会社は100社はないということで、各社が一匹狼のような状態で生存しているという、旧態然とした企業経営の業種です。こういった状況下で私共は創業当初から「人間が財産」ということで、技能向上・継承について大変気を使ってきました。私共のような小企業であっても、やはり年々の会社方針等の羅針盤というものを明確にしていかなければ、生存競争・企業競争に打ち勝つ事はできません。 今年は2001年・新世紀ですので、「41期本社革新宣言」ということをしています。私共ではここ10年、「人材」の材は材料の材ではなくて、たからの財という字を使っています。会社方針、個人目標としては、技術・技能向上の証として技能1、2級の取得に挑戦する、絞り技能の国家検定導入へ技能交流会の再考、社内・社外表彰者輩出は自己啓発・人財育成の道場なり、人事考課内容を再検討し、より評価制度を向上させ年収判定の信憑性を高める、などがあげられます。 企業である限り、年度目標や部方針や会社方針を持つというものは当然ですが、職業としても技能尊重、技能最優先としている関係上、年度方針の中にこのように会社がチャレンジする最重要事項を明確にしていくことは、熟練技能者に理解し納得して実行していただくために、トップとして必要な事だと思います。特に小企業の場合は、会社の心意気を鮮明に出さないと、会社経営、技能向上、技能継承、評価がうまくいかないのです。バランスシートには現れない、意欲のある人間がいないと会社の利益というものは生まれてきません。 私はよく経営をおみこしにたとえるのですが、大勢で担ぐ時に真中にいてぶら下がっているだけで実際は何も担いでいないような状態ではだめなのです。本当におみこしを担いで、おみこしの重量が自分の肩にかかるような仕事をしなければいけません。私は今後も技能育成・継承を含め、卵を産む事の出来るような人財を育てなければと思っております。経営の使命は継続であり、終わりがありません。技能継承・向上に関してもこれでいいという終点はありませんから、会社方針の中にいくつかあげたように、会社の意思表示を明確にして、当社の工場長や役付き者が火の玉になって前に進んでいくということで、私はこういったものを文章化していくということも小企業における継承の手順としては最重要なものではないかと思います。 そして重要なのは学校との信頼性を構築し、学卒者を受け入れるという事です。高度成長時代とは違って、これからは少数精鋭の時代です。これからは入社の入り口・つまり川上で本当に卵を産む事の出来る人財を選ぶ事が必要です。こういった意味で、総務・人事担当者というのは大変な宿題を背負っているのです。終身雇用の場合、一人採用するとなると定年までに億のお金がかかります。ですから入り口で有精卵と無精卵の選別をする必要があるのです。大手企業の場合は優秀な人財が入社されますが、我々中小企業の場合は高度成長時代には人手不足で泣かされ、トップの仕事といえば人手を集める事でした。そういう意味では今の不況を私は大変喜んでおります。 本当に小企業に於いてもすばらしい才能を持った意欲人間が門前に並びます。ですから、「不況また良し」ということです。地元の工業会や異業種交流会などでもまだ頭数を揃えればいいという考え方の方は多くおられますが、いい人間を採用するために受け入れ側は慎重に対応せねばならないと思います。 私共ですと、毎年3〜5名を採用するのですが、その中でたった一人でも優秀な人財がいればいいと考えます。どういう人かというと、フットワークのある人、熟練技能ですから器用さのある人です。こういった人財を面接で見抜くとなると至難の業ですが、学校との信頼関係があれば、学校側で私共企業に向く人財を選別していただけることができるのです。 当社では入社の際に三科目の試験と面接を致します。何故かと言いますと、選抜されて入社したという自信を持つことが必要だからです。そして、家庭訪問も致します。家庭環境も十分に見た上で、途中で止めない限りは生涯面倒見るのですから、磨けば光る人間をまず川上でもって選抜するという事を心がけております。入社前の12月頃にはアピールもかねて先生経由で入社前教育として通信教育を行っております。熟練技能の継承手順についてはこれで終わりですが、要するに会社が技能者をいい意味で大切にして、育てていくのだという事が新入社員はもちろん受け入れ側である我々の姿勢も強く打ち出さなければ、受身の指導では人は育たないのです。 |
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